航空コラム

飛行機のAPUとは?役割・いつ使うか・GPUとの違いを現役整備士が解説

飛行機のお尻にあるAPUの排気口と、イヤーマフを付けた整備士サクラ
サクラ

空港で飛行機のお尻を見ると、小さな穴が開いています。穴の奥に入っているのがAPUです。
結論から言うと、飛行機のAPUは「補助動力装置」です。エンジンをスタートさせたり、地上で電気と空調を確保したりするために使います。
現役の一等航空整備士の私が、APUの役割、いつ使うのか、故障したらどうなるのかをお話しします。

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APUをもっとくわしく知りたい方には、私と同じ一等航空整備士が書いた本があります。『現役航空整備士が書いたかなりマニアックな飛行機豆知識』(日本航空技術協会)です。第13章が「補助エンジン(APU)」の章で、APUの目的や中の仕組みがイラストつきで解説されています📕

結論:飛行機のAPUは「補助動力装置」。機体のお尻にあります

APUは、Auxiliary Power Unitの略です。日本語では補助動力装置と呼びます。機体のお尻の部分に入っている、小さなエンジンです。

APUの役割は3つあります。

  • 機体の電気をつくる
  • 空調を動かす
  • エンジンをスタートさせる
飛行機のAPU(補助動力装置)の場所と3つの役割の図解。電気をつくる、空調を動かす、エンジンを始動する

飛行機のAPUはいつ使う?

APUを使うのは、おもに地上にいるときです。出発前は、機体の電源と空調を確保するためにAPUを使います。出発してエンジンをスタートさせたら、APUは切ります。

到着のときも同じです。到着前にAPUを始動して、電源と空調を確保します。

エンジンをスタートさせる流れと、だいたい右から回す理由は、ジェットエンジンの仕組みの記事で紹介しています。

じつはAPUはあまり使いません

APUを動かすと、燃料を使います。燃料を減らすため、APUはあまり使いません。使うのは、整備の点検と、出発の前後です。

APUの性能を確認したあとは、地上電源と地上エアコンに切り替えます。

APUとGPUの違い

GPUは、Ground Power Unitの略です。地上から飛行機に電気を送る、地上電源のことです。APUは機体に載っている装置で、GPUは地上側の設備です。

役割APU(機体のお尻)地上の設備
電気つくれる地上電源(GPU)
空調動かせる地上エアコン
エンジンのスタートできる高圧の空気を作る車

機内の空調の仕組みは、飛行機のエアコンの記事で紹介しています。

飛行中にAPUを使うことはある?

基本的に、APUは上空では使いません。ただし、次の場合は上空でAPUをスタートさせます。

  • 機体の不具合で、電源や空調を確保したいとき
  • エンジンの不具合で、エンジンを再始動したいとき
  • ETOPSに関係して、上空でAPUを始動する実績を積むとき

エンジンの再始動には、APUを使わない方法もあります。ウィンドミルスタートという方法で、前から当たる風の力でエンジンを回して始動します。

ETOPSは、エンジンが2つの飛行機が、空港から遠いルートを飛ぶためのルールです。ETOPSについては、ANA機の緊急脱出を解説した記事でも触れています。

APUが故障しても飛行機は出発できます

APUが使えなくても、飛行機は出発できます。APUの代わりに、地上の設備を準備します。

  • 地上電源
  • 高圧の空気を作る車(エンジンのスタートに使う)
  • 地上エアコン

整備士から見たAPU

APUは、あまり不具合が出ない装置です。整備士がよくやる作業は、オイルの補充です。

サクラ
サクラ

APUの近くはとてもうるさいので、耳を守るイヤーマフは必須です。

B777だけ、APUの排気口が左を向いています

B777は、APUの排気口がお尻の左側を向いています。ほかの飛行機には見られない特徴です。

左を向いている理由は、地上で作業する人に騒音を向けないため、と言われています。B777は、後ろの貨物室(バルクカーゴ)の扉が機体の右側にあります。排気口を左に向ければ、右側で作業する人に届く音が小さくなります。

私が知るほかの機種は、バルクカーゴの扉が左側にあります。たとえばB787は、ボーイングの資料でもバルクカーゴの扉が左側です(Boeing 787 Airplane Characteristics for Airport Planning)。

サクラ
サクラ

実際に地上にいると、機体の右側と左側で音がまったくちがいます。

バルクカーゴがどんな場所かは、飛行機の貨物室の記事で紹介しています。

よくある質問

Q. 飛行機のお尻の穴は何?
A. APUの排気口です。お尻の中に、APUという小さなエンジンが入っています。

Q. APUは飛行中も動いているの?
A. 基本的に、上空では使いません。機体やエンジンに不具合が出たときなどに、上空でスタートさせます。

Q. APUが壊れたら欠航になるの?
A. APUが使えなくても出発できます。地上電源、高圧の空気を作る車、地上エアコンを準備します。

まとめ:飛行機のAPUは地上で活躍する小さなエンジン

  • 飛行機のAPUは補助動力装置。機体のお尻にある
  • 役割は、電気をつくる・空調を動かす・エンジンをスタートさせるの3つ
  • 燃料を減らすため、APUはあまり使わない。地上電源と地上エアコンに切り替える
  • 基本的に上空では使わないが、不具合のときなどにスタートさせる
  • APUが故障しても、地上の設備を使って出発できる
  • B777はAPUの排気口が左を向いている

APUが使う燃料は、エンジンと同じジェット燃料です。飛行機の燃料については、下の記事で紹介しています。

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サクラ
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一等航空整備士
一等航空整備士の資格を持つ、現役の航空整備士です。 日本国内はもちろん、海外でも整備士としての経験を積んできました。 日々、飛行機と向き合う中で感じたことや、現場で学んだリアルな知識を発信しています✈️ 航空ニュースの深掘りや、普段はあまり知られていない整備の裏側、そして空の魅力まで。 飛行機がもっと面白くなる、そんなきっかけを届けられたら嬉しいです。
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