航空コラム

飛行機の揺れない席はどこ?現役整備士が選ぶのは翼の少し後ろ

飛行機の揺れない席はどこ?窓側の席でシートベルトを締め、窓の外の主翼を指さすサクラ猫のイラスト
サクラ

飛行機に乗ると、ガタガタと揺れて不安になることがあります。揺れが苦手な人ほど、どの席なら揺れにくいのかが気になるはずです。

私は現役の航空整備士です。この記事では、飛行機の揺れない席がどこなのかを、機体の動き方から解説します。整備士の私が実際に選んでいる席も紹介します。

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乗り物酔いが心配な人は、手首につける酔い止めバンドを使う方法もあります。「スッキリバンド」は、一般医療機器として届け出されているリストバンドです。メーカーは「手首にあるツボを刺激することで乗物酔い・つわりが軽減される」と説明しています。感じ方には個人差があります。

機内で休むときは、ネックピローがあると首を支えられます。私が使っているのは、空気で膨らませるタイプではなく、低反発でフードが付いたタイプです。

結論:揺れない席は「翼の付け根あたり」

飛行機でいちばん揺れにくいのは、主翼の付け根あたりの席です。機体の重心に近いからです。

JALカードのコラムでも、中央付近の席は機体の重心に近いため揺れが少ないと説明されています(JALカード「飛行機の座席はどこがおすすめ?」)。翼の付け根あたりの窓側の席からは、窓の外に主翼が見えます。

飛行機は重心を中心にくるっと回る

飛行機が揺れるとき、機体は重心を中心に回るように動きます。シーソーの真ん中がほとんど動かないのと同じです。

飛行機の揺れない席の図解。横風が垂直尾翼に当たると機体は重心を中心に回り、翼の付け根あたりは動きが小さく、重心から遠い後ろの端ほど大きく動く

たとえば、横風が垂直尾翼に当たったとします。垂直尾翼は機体のいちばん後ろにあるので、まず後ろが横に押されます。その反動で、機首は逆側に動きます。

このとき、重心の近くはほとんど動きません。重心から離れた席ほど、大きく左右に振られます。

機体ごと上下する揺れは、どの席でも同じ

ただし、機体全体がふわっと持ち上がったり、沈んだりする揺れもあります。この揺れは機体ごと動くので、席による差はあまりありません。席選びで小さくできるのは、機体が回るような揺れです。

前と後ろ、どっちが揺れる?

よく「後ろの席ほど揺れる」と言われます。運輸安全委員会の資料でも、一般的に機体の後方ほど揺れが大きいとされています(運輸安全委員会ダイジェスト第44号)。

これも、重心からの距離で説明できます。翼の付け根は機体の真ん中より少し前にあるので、後ろの席ほど重心から遠くなりやすいのです。前の席も重心から離れていれば揺れますが、後ろの端ほどではありません。

整備士が選ぶのは「動翼が見える翼の少し後ろ」

私が乗客として乗るときは、翼の少し後ろの窓側を選びます。重心に近くて揺れにくいうえに、翼の動く板(動翼)が見えるからです。

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翼の少し後ろの席からは、離陸や着陸でフラップやスポイラーが動くところがよく見えます。揺れにくくて、見ていて楽しい。整備士にとっては特等席です。

フラップが離陸と着陸でどう動くかは、飛行機のフラップの記事で解説しています。着陸で翼の上に立ち上がる板は、逆噴射とスポイラーの記事で紹介しています。

強い揺れのあとは、整備士が特別点検をする

揺れが苦手な人に知っておいてほしいのが、揺れたあとの点検です。

飛行中に「タービュランス」と呼ばれる強い揺れにあったあとは、機体の特別点検が必要になります。整備士が決められた手順で機体を確かめてから、次の便に使います。

飛行機は、揺れることも想定して作られています。そのうえで、強い揺れのあとは整備士の目でも確かめているのです。

揺れでけがをしないために、座っている間はシートベルトを

どの席を選ぶかより大切なのが、シートベルトです。

国土交通省によると、国内では2004〜2023年の20年間に、飛行中の突然の揺れによるけがの事故が37件起きています。重傷を負った乗客は18名です。

けがは、次のような場面で起きています。

  • 座っているのに、シートベルトを締めていなかった
  • シートベルトを締めていたが、緩かった
  • トイレを使っていた、通路を歩いていた

揺れの中には、前もって予測するのが難しいものもあります。そのため航空会社は、シートベルト着用サインが消えていても、座っている間はずっと締めておくようお願いしています。締めるときは、腰の低い位置で緩みのないようにします(国土交通省「飛行中の突然の揺れに伴う負傷防止のためご留意いただきたいことについて」)。

座席の番号は機種ごとに違う

翼の付け根あたりが何列目になるかは、機種や航空会社によって違います。座席を指定するときは、座席表を見て、機体のほぼ真ん中あたりの席を選んでください。

窓側の席なら、窓の外に主翼が見えるかどうかでも確かめられます。

まとめ

  • 揺れない席は、重心に近い翼の付け根あたり
  • 飛行機は重心を中心に回るので、重心から離れた席ほど大きく動く
  • 前か後ろかより、重心からの距離で決まる
  • 整備士の私は、動翼が見える翼の少し後ろを選ぶ
  • 強い揺れのあとは、整備士が特別点検をする
  • 座っている間は、サインが消えていてもシートベルトを締めておく

翼の少し後ろの席から見えるフラップの動きは、飛行機のフラップとは?離陸と着陸で翼が変わる理由を現役整備士が解説で詳しく紹介しています。

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一等航空整備士
一等航空整備士の資格を持つ、現役の航空整備士です。 日本国内はもちろん、海外でも整備士としての経験を積んできました。 日々、飛行機と向き合う中で感じたことや、現場で学んだリアルな知識を発信しています✈️ 航空ニュースの深掘りや、普段はあまり知られていない整備の裏側、そして空の魅力まで。 飛行機がもっと面白くなる、そんなきっかけを届けられたら嬉しいです。
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