飛行機の貨物室の温度は?ペットはどこに乗る?現役整備士が中の環境を解説
飛行機に預けた荷物やペットは、貨物室でどんな環境にいるのでしょうか。寒くないのか、空気はあるのか、気になる人は多いはずです。
私は現役の航空整備士です。この記事では、飛行機の貨物室の気圧と温度、ペットが乗る場所を解説します。整備士が貨物室で点検していることも紹介します。
※本記事にはアフィリエイト広告(PR)を含みます。
『博士ずかん すごい飛行機』(ニュートンプレス)は、科学雑誌『Newton』の小学生向けシリーズの1冊です。目次には「貨物は飛行機の”おなか”に積まれる」「カウンターで預けた手荷物は、どのように運ばれる?」という項目があります。
ペットを飛行機に乗せるなら、クレート(ハードタイプのキャリー)が必要です。航空会社でも貸し出していますが、家で使い慣れたクレートで乗せたい人もいると思います。
OFTの「ペットケンネル・ファーストクラス」は、そうしたクレートのひとつです。メーカーは、IATA(国際航空運送協会)の安全基準をクリアしていると説明しています。L60サイズ(外寸 幅40×奥行60.5×高さ40.5cm)は、航空会社が猫向けに貸し出すクレートと近い大きさです。私は使ったことがありません。使う前に、利用する航空会社へ使えるかを確認してください。
結論:飛行中の貨物室は20度前後
私が知っている機種では、飛行中の貨物室は暖房で20度前後に保たれています。気圧も客室と同じです。
ペットが乗るバルクカーゴ室には、暖房に加えて換気の装置もあります。
飛行機の貨物室は客室の下にある
飛行機の貨物室は、客室の床の下にあります。飛行機の「おなか」の部分です。
私が知っている機種では、貨物室は次の3つに分かれています。機種によって違う場合もあります。
- 前方の貨物室(フォワードカーゴ)
- 後方の貨物室(アフトカーゴ)
- いちばん後ろのバルクカーゴ室

気圧は客室と同じ
貨物室の気圧は、客室と同じです。JALの案内でも、貨物室は0.8気圧(標高2,000mの山頂と同じくらい)と説明されています。
貨物室は客室とつながっていない
貨物室は、客室とつながっていない密閉された空間です。理由は、火事に備えるためです。
貨物室で火事が起きたら、消火剤を噴き出して、火を窒息させて消します。部屋が閉じていないと、消火剤が逃げて火を消せません。
アメリカの設計基準でも、貨物室の火事への備えが決められています。煙や火を見つける装置と、操縦室から操作できる消火装置を付けることです。煙や消火剤が客室に入らないようにすることも求められています(FAA 14 CFR 25.857)。
密閉されているため、貨物室の中は薄暗く、空気がよどんでいます。
貨物室の暖房と換気
貨物室には暖房が付いています。私が知っている機種では、次のようになっています。
- 前方と後方の貨物室:暖房あり、換気なし
- バルクカーゴ室:暖房と換気あり
一部の機種では、特殊な貨物を運ぶために、冷房をオプションで付けられるものもあります。
ただし、地上で止まっている間は別です。夏の地上では、換気のない貨物室は灼熱で湿度も高く、とても過酷な環境になります。
ANAの案内でも、貨物室の環境は外の気温の影響を受けると説明されています。客室と異なる場合があり、夏は高温になることもあるそうです(ANA「ペットをお連れのお客様(国内線)」)。
ペットが乗るのはバルクカーゴ室
ペットは、暖房に加えて換気もあるバルクカーゴ室に乗せます。
整備士は出発前に、バルクカーゴ室の温度や換気のシステムに不具合がないことを確認します。
飛行中にバルクカーゴ室の温度や換気に不具合が出た場合、ペットが乗っていれば大変なことにつながります。そのため、出発した空港に引き返したり、近くの空港に降りたりすることもあります。

ペットが乗るバルクカーゴ室は、温度と換気に不具合がないかを確かめてから送り出しています。飛行中に不具合が出たら、引き返すこともあるほど大事な装置です。
それでも、貨物室は日常とは大きく違う環境です。JALも、輸送の環境がペットの健康にさまざまな影響を与える可能性があると案内しています。暑さに弱い子犬や高齢の犬、鼻の短い犬種は、時期や時間に気をつけるよう呼びかけています(JAL「国内線 ペットとおでかけサービス」)。
航空会社のクレートの規定
ペットを預けるときは、クレートに入れます。ANAとJALの国内線では、どちらもIATAの基準に合ったクレートが必要です。
| ANA(国内線) | JAL(国内線) | |
|---|---|---|
| 主な条件 | 頑丈な屋根、硬い素材、換気用の窓、鍵、取っ手 | 硬い素材で水漏れしない、換気が十分、外から鍵がかかる |
| 使えないもの | 5〜10月はケージの二重使い、カバーの取り付け | 布製、折りたたみ式、鳥かご型 |
| 猫向けSサイズの目安 | 幅40×奥行55×高さ40cm | 幅39〜43×高さ40×奥行54〜59cm |
| 貸し出し | あり(数に限りあり) | あり |
どちらの会社も、ペットが中で立ったり向きを変えたりできる大きさを求めています。条件は変わることがあるので、最新の内容は利用する航空会社の公式ページで確認してください。
自分のクレートを用意するなら
家で使い慣れたクレートで乗せたい場合は、IATAの基準に合うものを選びます。
記事の上で紹介したOFTのクレートについて、メーカーはIATAの安全基準をクリアしていると説明しています。そのうえで、航空会社によって規定が異なるため使えない場合があるとして、各航空会社への問い合わせを案内しています(OFT「ペットケンネル・ファーストクラス」)。
サイズは9種類あります。ペットが中で立ったり向きを変えたりできる大きさを選んでください。
整備士が貨物室で見ているところ
貨物室では、火事を見つける装置のテストなどを定期的にしています。火事を早く見つけて消すための装置なので、きちんと働くかを確かめておく必要があります。
貨物室の作業では、足元にも注意が必要です。機種によっては、貨物室の床に板がない所があります。私はそこで足を踏み外して、すねを強打したことがあります。
まとめ
- 飛行機の貨物室は客室の下にあり、気圧は客室と同じ
- 貨物室は火事に備えて密閉されていて、薄暗く空気がよどんでいる
- 飛行中の貨物室は暖房で20度前後。ペットが乗るバルクカーゴ室には換気もある
- ペットはバルクカーゴ室に乗り、整備士が出発前に温度と換気を確認する
- クレートはIATAの基準に合うものが必要で、ANAとJALは貸し出しもしている
貨物室の温度にも関わる、飛行機の空調の仕組みは、飛行機のエアコンってどうなってるの?現役整備士が仕組みをやさしく解説で紹介しています。

